『昨日の午後のこと』 ワルサン・シレ
叔母さんの家に火がつけられた
テレビみたいに泣いた
お腹から崩れ落ちて
半分に折れた5ポンド札みたいに
かつて私のことを愛してくれた人に電話した
平静を装って
もしもしと言った
彼の返事は、ワルサン、どうしたの、何があった?
私はずっと祈り続けていた
祈りの言葉はこう
神様
私には二つの母国があります
一つはカラカラに乾いている
もう一つは火に包まれている
両方とも水が必要です
その日の夜遅く
膝の上に地図を広げた
指で世界中をなぞった
そしてささやいた
どこが痛いの?
地図は答えた
からだじゅう
からだじゅう
からだじゅう
*日本語訳は勝手につけたもの。
ソマリア難民の子としてケニアで生まれ、1歳からイギリスで育ったWarsan Shireは、同い年なのに、考えと言葉が本当に深くて、一番尊敬する詩人。ビヨンセのアルバム”LEMONADE”に収録されている”Hold Up”という曲の最初でビヨンセが朗読しているのは、”For Women Who Are Difficult to Love”というシレの詩です。