『昨日の午後のこと』 ワルサン・シレ 


f:id:Rikonish:20161121033441j:image
叔母さんの家に火がつけられた

テレビみたいに泣いた

お腹から崩れ落ちて

半分に折れた5ポンド札みたいに

かつて私のことを愛してくれた人に電話した

平静を装って

もしもしと言った

彼の返事は、ワルサン、どうしたの、何があった?

 

私はずっと祈り続けていた

祈りの言葉はこう

神様

私には二つの母国があります

一つはカラカラに乾いている

もう一つは火に包まれている

両方とも水が必要です

 

その日の夜遅く

膝の上に地図を広げた

指で世界中をなぞった

そしてささやいた

どこが痛いの?

地図は答えた

からだじゅう

からだじゅう

からだじゅう

 

*日本語訳は勝手につけたもの。

ソマリア難民の子としてケニアで生まれ、1歳からイギリスで育ったWarsan Shireは、同い年なのに、考えと言葉が本当に深くて、一番尊敬する詩人。ビヨンセのアルバム”LEMONADE”に収録されている”Hold Up”という曲の最初でビヨンセが朗読しているのは、”For Women Who Are Difficult to Love”というシレの詩です。

シレのツイッターwarsan shire (@warsan_shire) | Twitter

youtu.be